8050問題解決塾、でひきこもりやニートの問題を解決する、と言っておきながら、解決不要、というのは誤解を招くかもしれない。筆者がいいたいのは「問題」ならば解決する必要があるし、それは解決塾に任せればいい。しかし、ひきこもり、ニート、パラサイトは問題ではなく人の生き方であり、解決は不要なのだ。

寄生、とか居候、はては、「(嫁に)行きそこない」「できそこない」などと罵る親に至っては、親の側に問題があるとしかいいようがなく、無責任であるだけでなく治療を必要とする。そこまでディスられる必要はない。

そもそもニートは社会問題ではない。収入がなく、働こうともせず、働く気もなく、ゲームばかりやって家でゴロゴロしている人、というのは、個人や家庭の問題であっても社会の問題ではない。

それを、そんな子供はけしからん、といって、親たちから月会費だの年会費だのを集めて圧力団体を構成し、政治家にはたらきかけ、大騒ぎしている親たちの集団がいる。自分たちが育てそこなった子供たち、という個人の問題を社会問題に押し上げ、社会で救出してもらおうとしている。

悪いが、社会はそんな人たちに興味はないし、助けたいとも思わないし、助ける義理もない。自分の収入や能力も考えず、勝手に子供を作っておいてきちんと教育をすることもなく、子供をつきはなすこともなく甘えさせた結果、ニートになってしまったような場合に助けてくれる社会などどこにある?

そんなものまで救済していたら、きりがない。オレオレ詐欺にひっかかった人とか、ぼったくり居酒屋にひっかかった人とか、エウリアンにポスターを売りつけられた人とか、大学に入ったけど就職できなかった人を全部救済しないといけない。そういう人がごく僅かならばともかく、数千万人もいる状況ではとても救済などできない相談だ。そういう当たり前のこともわからないような人たちだから子どもたちが就職できなかったりするのも当然としか言いようがない。

つとめた会社が本当のブラック企業で、長時間労働を余儀なくされて脳梗塞になったり心臓を傷めたり、とか、毎晩接待で酒を大量に飲まされて肝臓を病んだ、とか、ばい煙がひどくて肺を傷めた、とか、36協定違反の労働やサービス残業をさせられた、というのは個別紛争処理を行うべきで、これも社会問題ではない。

大まかな数字で言うと1.26億人の日本人のうち正社員は25%程度しかいない。その正社員も平均月収は手取りで25万円程度である。いっぽう、年金をもらっているはずの65歳以上人口というのも25%を突破している。もっとも年金は月に6万円程度、厚生年金があっても10万円程度しか出ていない。

ということはこの国は、独居人口が異常に増え続けていて、人口の約半分が独居世帯だが、モデル世帯としては4人家族の一人が年金ぐらしで、一人だけが正社員で働き、残り二人はニートかパートタイマーであり、世帯月収は手取りで30万円もあれば幸せな方だ。なにしろ年金から税金、介護保険料、健康保険料が取られる世界なので、将来の年金の手取り額たるやほとんど微々たるものだ。

なんとか、田舎ではあっても持家があって、しかし車がないとほぼ生活ができず、しかし就業していないと車さえ維持できないので、いきおいひきこもらざるをえない。本当は年配者ほど大勢の家族と暮らすのが良いのだが、それができないでいるのがこの国だ。

OECDの勧告によれば消費税は26パーセントに上げろ、という。そんなことをされてしまったら、ほとんどの家計は破たんしてしまうぞ。将来の社会保障費をまかなうために消費税を上げていったら、そのせいで生活保護が増えてしまい、消費税が100%にまでなってしまう。そうなるとバカバカしくて誰も働かなくなってしまいかねない。

政府や民間企業がまだ意識が右肩上がりの世界を想定してビジネスを行っているが、これからはどんどんどの世界も右肩下がりである。日本だけでなく中国もアジアも高齢化の波が押し寄せる。アメリカですらまだまだ人口が増えているのに高齢化によって経済に黄色信号がついている。

ヨーロッパはストイックにできるだけ現状維持しようと、あまり新しいインフラに力を入れてこなかったように見えるが、日本は、不要な万里の長城のようなものをあちらこちらに作りすぎてしまって、その維持コストもまったくみえない。

日本の労働人口は急速な右肩下がりであり、死亡者が急速に増え、寝たきりも増え、働けない人が増える。医療費など社会保障費関連は別として、可処分所得は減る。みんながムダ金を使わなくなる。外食も控えるようになる。すべての小売や飲食業は壊滅的な状況になる。それが、これから30年かけて起きる。

一瞬は良かったとしても数年はよかったとしても長続きしない。あらゆる商売の経営者が従業員をカットするか、給料を下げなくてはいけなくなる。すると、そういう人たちは生活必需品しか買えなくなる。たとえばバルサミコ酢などは全く売れなくなる。

友人で会社のリストラにあったのち、自営で頑張ろうと、いろいろな商売に手を出した人がいる。多い時で月間売上7万円を達成したが、利益はほとんどゼロでもう20年以上になる。いっけん働いているようで実際にはニートである。

20年後にはニートは今の10倍には増えるだろう。ニートだからといって後ろ指を指される時代はもうすぐ終わろうとしている。