最近、ご高齢となられている引きこもりの親御さんから、「引きこもりの子供がコロナワクチンに反対していて疲れてしまう」というご相談をいただくことが多くなりました。それ以前も、「社交性があると思えないのに、自分でやりもしないことに文句を言われやるせない」というお話を多くお伺いします。今日は「引きこもり」のかたが、なぜに傲慢になったり偽情報に振り回されたりするのか、ということについてお話したいと思います。

ネット弁慶の「自尊主義」

「引きこもり」世代の多くは、インターネットに没頭しています。ことに学生時代のいじめ問題などで引きこもってしまった人や、社会に出てすぐに会社をやめてしまったような人、は、職歴がなく、アピールポイントもありませんから「社会的価値が低い」ことをリアル世界においては認めざるを得ない、惨めになる、ために避ける傾向があります。

趣味の集まりなどに参加できる引きこもりもいますが、引きこもり歴が長いと他者とのコミュニケーションに躊躇します。ことに若い人は、「嫌われる勇気」が持てず「傷つけられる恐怖」が先に立つため、ボソボソと口の中で言葉を濁し、「別にいいけど」と、離れて行ってしまいます。

「ミジメで不幸な自分」「社会のせいで不幸を背負ってしまった自分」というのは「悲劇のヒロイン」として陶酔する人もいますが、他人からの「社会の落ちこぼれ」という蔑視に耐えることもできない、という不安定な心を持っています。そのため、情緒不安定になり、薬物乱用事故を起こしたりする人もいます。

そのように極端なことがなかったとしても、極端な内弁慶として家族に暴力をふるったり、常に「ナニサマなのか?」というような傲慢な態度で家族に接する人も少なくありません。そして、多くは匿名掲示板などでネット弁慶であったり、ひたすらインターネット上で情報収集をし、親世代のほとんどは新聞やテレビでしか情報を得ていないこともあり「自分は実は優秀だから、特別な情報にアクセスできる」と考えてしまいがちです。

実際にはインターネットは、ある偏った考えを持つと、半自動的に同種の情報ばかりが集まってくるようにできていて、結果として陰謀論にハマったり、カルト宗教に傾倒したり、投資詐欺に取り込まれたり、ということがかんたんに起きるようになっています。そしてそれは地頭が良くても悪くても、その人に応じた情報が出てきたり取捨選択のしかたによって最適化されてしまうことで、誰もが騙されてしまうのです。

現実社会で「素晴らしいポジション」を獲得できなかった引きこもりの人は、実際には現実社会でどんなにがんばってもなかなか素晴らしいポジションを獲得できないのに、「自分は特別に他人のせいで不幸になった」信仰のせいで、自分の生きる目的を持ち続けるために「自尊主義」に走り、インターネットの情報で自分なりの理論武装をして自己正当化をします。結果として、一般社会人にたいへんな迷惑をかけてしまうような稚拙な主張や行動を起こすことになります。

心の余裕がないので他人の意見を謙虚にきけない

引きこもりは、実際のところ、史上最強で最も幸福な人たちですが(働かなくてよくて周りがある程度裕福なためケアしてくれる)、自分は非常に不幸であり、自分の小さなプライドが傷つけられてしまうと自分が壊れてしまう、と考えています。そのため、自分の考え方の偏りに気づくこともありませんし、まして他人の意見は、それがどんなにまっとうだったとしても、あるいは合理的であればあるほど、受け入れがたいものに捉えてしまうのです。

常に自分の気分や体調や自己満足度のみに関心が強いため、他人の気持ちを慮ることもできなければ、他人に寄り添うこともできませんし、他人が寄り添おうとしても非常に強い拒否反応を示します。自分が心を許してしまったとき、その心を他人が操作するのではないか、ととてもおびえてしまうのです。

一般的な社会人の行動原理は、金銭的な動機が大きいものですが、引きこもりや、「飼われているもの」は、自分で苦労して生きるためにお金を稼いだ経験がなく、お金を稼ぐために、自分の心を売り渡し、我慢したり、犠牲を払ったり、という体験もないため、口先でお金の話をしたとしても、実感としてのお金の感覚を持っていません。お金に対する責任や、労働の価値というものを知りません。

非常に多くの引きこもりは、最低時給すら知りません。自分が食べているご飯がいくらくらいの費用でできているかも知りません。自分を養うために親たちがどれだけの費用を払っているか、ということにも関心がありません。このかたたちの関心は、とにかく自分の心の健康だけで、極端な話が、世の中のあらゆることが自分の思い通りになっていないと気が済みません。

とはいえ、政治や社会体制、法律にもほとんど無頓着です。それよりはるかに自分が見える範囲の、自分が詳しい、自分にとって不快なことのあら捜しをすることがこの人たちが好きなことであり、得意なことでもあり、それが世の中のためになる、他人に対する親切である、とまで勘違いしています。

親御さんたちは自分たちに寄生している金食い虫から罵倒された場合に「ありがとう」と言わないことでさらに罵倒されることになり、戸惑い、途方にくれます。「ワクチン害悪説」はマイブームにしかすぎず、やれ電磁波が悪い、砂糖が悪い、白米が悪い、薬が悪い、と再現のない文句を言い続けます。

解決をする気がない場合は聞き流してください

8050問題解決支援センターなどにSOSを出す、までもない場合、この人達の言葉は聞き流してください。意味を考えてはいけません。ペットの犬がワンワンと吠えているのと同じことで、犬語で何を言ってるのか、何をいわんとしているのか、考える意味はありません。現象としてはただ「飼われている犬が吠えている」だけ、です。意味はありません。

他人は他人と考えてください。自分の子供であっても他人は他人なのです。子供が引きこもりになってしまうのは親に対する依存心が強いことが原因で、それは親が子供の独立心を阻害するような干渉を強く行ってきたときに出現しやすいことが知られていますが、たとえ原因がそうだったとしてももうすでに子供も子供と言えない年齢なのですから、全くの別人格と考えてください。ですから、子供にワクチンの効能について言われる筋合いがないのと同様、子供に対して何かを強制したり、何かをおしつけることはできません。

全くの別人格であり、養っているペットと同じなのですから、一切を無視してください。彼らが自分で自分のことができるようになるまで、一切手をかさないで放置してください。親子の問題は親子では解決できません。唯一の方法が親子の縁を切ってしまうことです。言うのはかんたんなのですけれどもね。

なお、新型コロナワクチンについては、自治体によってはなかなか気軽に打てるような状況でないいっぽう、感染経路が明確でなく、混雑したところに出かけない人でも感染している例がありますから、重症化を防ぐ役にはある程度たっていること、中等症以下で回復したとしても、最悪の場合非常に長期間、味覚障害や関節の痛み、脱毛が続くことが報告されてしますから、現状ではメリットのほうが大きいと判断するのが妥当だと思います。

ことに40代50代の重症化リスクは強く、また引きこもりの方は不健康な人も多いので、なるべくならワクチン接種が好ましいと思います。なにせ、テレビでは「重症化患者」と聞こえがいい言い方をしていますが、実際には「植物人間状態」ですからね。それでも2ヶ月程度の植物人間状態から回復する例もありますが、今後は人工呼吸器の奪い合いになってしまいますので、本当におすすめできません。

私どももこの感染症の初期段階ではマスクの効果に疑問を呈しておりましたが、毎週、世界中の情報が新しくなりますので、できる限りの自分でできる防御は取るようにして方がよい、と申し上げておきます。