政府は警鐘をならしていませんが、不動産投資に巨額な財産(および今後得られるであろう収入)を騙しとられてしまう人たちがあとをたちません。騙される人たちは30歳から50歳が多いのですが、超高齢者も非常にたくさんいます。「相続税対策」という詐欺スキームが横行しているからです。

オレオレ詐欺より相続税詐欺が悪質なのは、プレーヤーが反社会的勢力とは限らず、銀行、不動産会社、大手建設会社、ファイナンシャルプランナー、行政書士、税理士など、立派そうに見える人たちが主軸になって行っているからです。

しかし、バブルの時代とは違うのです。銀行はサラ金と一体化しました。不動産会社はバブル時代は地上げで暴力団と蜜月の仲でした。建設会社は大手から中小に至るまで脱法行為の温床です。かつ、政府とつるんで見かけの景気を良くする道具として持ちつ持たれつの関係です。

ファイナンシャルプランナーの99%は詐欺師であり、国家資格でもなんでもなく、自称、であり、経済評論家同様、十分な財産がないため、他人の財産のアドバイスをすることで「ヒモ」になっている人たちです。中には、騙すことが癖になっていてものすごい大金持ちもいるのですが。

行政書士、税理士が資格で食える時代は終わりました。税理士の仕事の主軸は、税務会計処理、というと聞こえがいいですが、領収書の束を、パソコンのソフトに打ち込んでいく「キーパンチャー」「タイピスト」の仕事です。法律の抜け穴を見つけて大金持ち、というわけにはいきません。医者が死なないわけではないのと同じことです。資格を持ったからといって特殊能力をみにつけるわけではありません。

確かに、財産を持っている人が不動産を購入すると相続税支払い額は減ります。相続税対策にはなります。しかし相続税対策には見かけ上、お金がかからないことになっています。なぜか? 関係者が全員大儲けをするからです。

相続税対策を行うと、行った家族は必ず経済的に損をするようになっています。銀行や不動産は大儲けするようになっています。だから相続税対策を喧伝するのです。相続税対策が必要といわれるのは、実家が利便性のいい場所に立っている人たちなどです。

庭付き一戸建ての建っている土地が、路線価で1億とか2億という家があるのです。子どもは1-3人くらいしかいませんから、そのままだと相続税を5000万円とか、8000万円とか支払うことになってしまいます。ところが、たとえば都心のマンションを一部屋買うだけで、6000万円とか8000万円かかります。それを銀行から借り入れすると、借入の部分はまるごと負債になり、資産の側は、購入金額よりはるかに安く査定されることから、相続税額は確かに減らすことができます。

問題は相続が終わった後です。8000万円だ、1億円だ、という借金には、年2%だとしても、毎年200万円弱の利子がかかっていきますから、思わず10年くらい生きてしまった場合には2000万円弱消えるのです。そもそも買った瞬間に、購入のための諸費用、不動産仲介手数料や借金の手数料などがかかるので、それだけだって相当な金額です。一般には3%プラス6万円なので、1億円の物件の仲介手数料は300万円以上にもなります。消費税の類も本当に大きな金額になります。

マンションや一戸建ての新築は買った瞬間に、ざっくり1000万円くらい価値が下がります。これは販売するために広告宣伝をしていたり、日本人はバージン物件が好きなため、その分の付加価値が載っているためです。かといって中古を買うとなると、目利きが必要になります。

私の感覚では旧耐震といわれる古い物件は無価値なのではないか、と思いますが、市場にはそういったものも大幅なリノベーションをして、5000万円ほどで売られている物件もあります。実質的には数百万円くらいの価値しかないとおもうのですけれど、今、相続税対策とか、外国人とか、さらには政府の年金基金とかのお金が不動産業に入っているため、不動産バブルが起きていることにより価格高騰しているのです。

ですから新築マンションは販売価格が1億円だったとしても、仲介手数料は往復取られますし、銀行の金利や金利手数料も取られますし、マンションの管理費や修繕積立金も取られますし、バージンプレミアム価格やその時点での市場相場による価値の変動によってもいくらで売却できるかわかりません。唯一の救いは、売却した時に差損があれば、資産の売却収入にカウントされないことですね。

1億円の物件は数年後には7000万円でしか売れないでしょう。不動産相場が暴落していれば5000万円になってしまうかもしれません。近隣に葬祭場とかできると、数百万価値が下がったりします。もっと言えば、自己物件になったりしても価値は下がります。

財産が3000万円目減りするほかに、さまざまな手数料などで、2000万円くらいかかってしまうこともあります。それでも相続税55%で5500万円払うよりは若干ましかもしれませんが、賭博的要素が高いです。それに自分自身が非常に煩雑な処理をしなければいけませんし、詐欺会社が間にはさまると丸損も起きますので本当に大変です。

現在の不動産市況は明らかにバブルですので、現時点で不動産投資による相続税圧縮をすすめる業者さんは疑うことをおすすすめします。