川島です。私がテレビ番組「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」に8050問題の専門家として出演してちょうど一年になります。

「8050問題」は解決どころか泥沼化しているのに、メディア露出が減ってしまいました。いくつもの要因がありますが、一番大きな理由は、現在の地上波テレビ(正確には地上デジタルテレビ)の視聴者の大半を占めるのが高齢者であり、彼らにとって「愉快でない話題」であることによります。

もう2つの大きな問題は、問題の当事者がプライドが高すぎて、謙虚に反省し、まっとうに生きる力を失っていること、そして厚労省が「我は解決の任にあらず」と逃げてしまっているところにあります。

そこで、今回は、公共の番組では言うことができなかった、「8050問題の最も悲惨なシナリオ」(実話)についてお話をいたします。

放置された「引きこもり」の悲惨な末路

「ひきこもり」には二種類います。「働いて、自活したことがある人」と「ごく短期間しか働いたことがないか、一度も働いたことがなく、自活したことがない人」の二種類です。

前者は、パワハラやセクハラ、モラハラ、リストラなど、さまざまな要因、あるいは複数の要因により、典型的にはうつ状態からうつ病エピソードを発症し、数カ月から数年引きこもりになることがありますが、社会参画していない状態というのは日本人にとって、精神的にかなり厳しいため、ほとんどが社会復帰していきます。

また、彼らを支援する機関もたくさんありますし、そのかたがたは本当に努力をし、あまり間違った努力をしないため、社会性を失っていなければ、けして裕福ではなくとも社会復帰している人がほとんどです。(大企業の管理職のような人でリストラされたようなかたは、無駄にプライドが高いこともある上、謙虚さに欠けるため、採用されることはありません)

自活できない「クズ」が威張っている

しかしもちろん問題なのは後者です。今の日本で自活できない、というのは、どうしようもないクズです。何しろ、とりあえず給料さえ稼げば、衣食住は非常に手軽に手に入り、漫画喫茶やネットカフェに住むことすらできてしまうのですよ。

本当に自活している人からすれば、漫画喫茶なんてとてつもない無駄づかいでしかありません。一泊二千円なら、一ヶ月6万円です。東京の都心でも3万円前後で借りられる部屋はたくさんあるのですよ。地方都市ならさらに安い。もうただのバカでしかありません。

一度もまともに働いて自活したことがない人には帰る場所がありません。彼らにとって、僅かなお金のために毎日勤勉に働く、というのはとてつもなくハードルが高く、まるでエベレスト登山のように見えるわけです。

しかし、ニートはプライドだけは高いのです。なぜなら、実は自分が社会の役に立っていないことは知っているからなんですね。「生きる価値のない存在」であることを認めてしまうと「自殺」しか選択肢がなくなってしまう。

ですから、こういうニートやクズや引きこもりは、家の中ですごく威張っていて、自分を養ってくれている親や兄弟を罵倒したり、暴力をふるったりするんですね。

兄弟は危機感をいだきますが、親は「自分の教育が悪かった」ことを認めたくないため、「社会が悪い」とか「アベノミクスが悪い」とか、わけのわからないものにすり替えをしてしまうのです。この親にしてこの子供あり、という家庭をたくさん見ています。本当に、悪いけど、こんなのばっか。

もちろん、いい大学を出たら一流企業に就職できて、ヒラメ社員を40年やれば退職金5千万円もらえるよ、なんていう、ニューファミリー世代のロールモデルは消えましたけど、それはそもそもが奇跡的な話にすぎないわけで、世界中、退職金何千万円なんて話はどこにもありませんよ。

専業主婦、というニートがクズ

現在の55歳より上の世代は「女は職場の花」「女は働かなくていい」「女は家庭を守れ」というリテラシー(影の常識)を持っています。男女雇用機会均等法が施行されたのは平成の頭ぐらいの話で、しかし、その当時はまだ全然、という時代でした。

平成の大企業でも女性を大量に採用しましたが、ほとんどは30歳までに退職に追い込まれるような状況でした。ですから未だに女性の管理職は少ないのです。そして女性社員は「一般職」と呼ばれ「お茶くみ」と軽蔑されていました。

ほとんどの女性は容姿かコネで採用され、どちらもない人は、本当に狭き門を戦わなければいけませんでした。そして、男性社員には、「早く社内の事務の女の子と結婚して身を固めろ」、女性には「寿退社」(結婚を機に退職すること)を迫ったのです。

「私、(料理を)作る人」「僕、食べる人」というコマーシャルが男女差別だから放送されなくなったときですら、世の中のほとんどの人は「神経質すぎる」「何が問題なのかわからない」という状態だったのです。

アジア全体では、夫婦共働きが当たり前だったものが、少なくとも日本においては「嫁さんを働かせるのは男の甲斐性がない」とか「近所の手前みっともない」まで言われていました。

専業主婦の母を持つ娘たちは、中学生ぐらいから、金持ちそうな家の息子をゲットする動きをしていました。もちろん、中学、高校では親が金持ちで、息子も頭が良くて顔もよくて、背が高くて、でしたが、大学生ともなると、経済力にウエイトが乗るようになっていたんですね。

念願の専業主婦になれた人を何人も知っていますが、子供を作って、家も持たせて、と旦那にハッパをかけて、旦那さんが病気になったり、離婚されたりという状況が、そこら中にあるわけです。そりゃあ、そうです。お金を稼いでいない人が一番威張っていて、旦那は奴隷にされるわけですから。冗談じゃない。

「専業主婦」のほとんどは、「実家から一度も出たことがない、自活できないクズ」でしかなく、それは、客観的に厳しい言い方をすれば、日本中にいる、ニートや引きこもりになってしまった人よりも、はるかにクズなんですね。

札幌親子餓死事件はまだ健全な事例

8050問題の最悪の事例として引き合いに出されるのが、この札幌の親子が家の中で餓死してしまった、という話や、親が死んだことを隠して年金をもらい続けていたダメ息子の話ですが、そんなものは悲劇のうちに入りません。それはただの自業自得というものです。

一番悲惨なのは、父親が死んでしまって、専業主婦だった母親と、ひきこもりでニートである子供が残され、その兄弟が遠くに住んでいる、という場合です。自分でお金を稼いだことがない人というのは困ったもので、お金の価値が全然わからないんですね。

ほとんどの詐欺師というのは、切迫した場面を作るか、最初はタダでやってあげる、といい、あとから別の仕事で法外なお金を要求したり、すごく親切そうに近づいて行ったり、あるいは長時間かけて洗脳したり、なんですが、現在の80代というのは、国に戦争を起こされて巻き込まれて悲惨な思いをしたのに「しかたなかった」というくらいプロパガンダに弱い人たちですので、もう赤子の手をひねるよりかんたんに騙されてしまうのです。

それに加え、80歳では、ボケていない人がほとんどいない、という厳しすぎる現状があります。そもそも物忘れは50代から強くなりますし、昔の60歳は完全なおじいちゃんで、最近のことなんか何も覚えていないのが当たり前、だったものが、医療の進化によって長寿になっているけど、老化を止める薬ができたわけではないのです。

放っておくと、いつのまにか数千万円あったはずの財産が詐欺師に乗っ取られたり、貯金が投資信託で溶けてなくなってしまったり、ということがおき、財産はないのに、認知症であることを認知していないわがままな親と、働かない暴力をふるう兄弟を抱えていることにふと気がつく。それが最悪のシナリオです。

親世代が「8050問題」のガン

80代後半ともなると、友人はほとんど死んでしまって、親自体が「ひきこもり」になることが多いのも問題です。この世代の人たちは、上にごまをするか、下に威張り散らすか、というコミュニケーションしかなかったので、世代の違う人たちと友達になるということがほとんどできないのです。

80代の親御さんたちこそ、自然の摂理として老いて記憶力が鈍くなり、目も耳も身体も悪くなっていて、脳細胞も死に続けているのですが、何しろ日本は、とても優しい社会、というより、ずるい社会でしたので、後期高齢者に「あなたがたの脳細胞は中学生の半分程度ですよ」という教育を避けてきました。

何しろ、騙されやすい人が大量に、特に地方ではマジョリティが高齢者なので、これは洗脳が商売の政治家にはすごく都合がいいわけなんですね。医学的な常識から考えて、後期高齢者にまともな判断能力があるはずがないのです。

しかも、世の中はものすごい勢いで変わっています。私は大学で電子計算機を学んだのですが、当時言われていた「スーパーコンピュータ」より何百倍も優秀なものを2歳の子供が弄んでいる状況になると、誰が予想したでしょうか?

日本は未だにカジノリゾートを観光の起爆剤に、とか言ってますが、テレビゲームをゲームセンターでやらなくてもいいようになったのと同様、あらゆるカジノゲームが世界中、みんな自宅で楽しめて、財産を溶かしたり増やしたりしていることが理解できないのでしょうか?

だれでも為替投資なんかかんたんにできるでしょう? FXというやつですよ。3万円が一瞬で3000万円になったり、500万円が一瞬でゼロになったりする、ものすごい賭博が、スマートホン一個でできるんですよ。誰がわざわざ寝間着を着替えて、スーツケース持って日本まで来ますか。もう政治家たちの脳細胞も膿んでいるとしか思えません。

健全な80代は認知症

よほど特別でない限り、80歳まで生き残っていること自体が奇跡に近いことなのですが、80歳代で、まったくボケを感じない人はいませんでした。ただ、月に二回程度、一回4時間程度会うだけでは、ボケているかどうかは見抜けないのです。

一緒に生活するとか、長く話を聞き出すとかしてみると、ほとんどの高齢者の記憶というのは、悲しいほどデタラメになっています。矛盾や、嘘や、錯誤や、ズレがたくさんあります。長谷川式スケールなど、ほとんど意味がありません。

短期記憶は比較的しっかりしているものですから。しかし、一週間前のことは、もう全然思い出せない。3時間説明してあげても、メモも取らないし、メモも取れないので、翌日には何も思い出せません。

私どもは、認知症に対して無力ですので、ただヒアリングを行うだけですが、たいていはお子様が、「それ、さっき言ってたのと違うじゃないの? どっちなの?」と詰問するようなことが起きます。

「さあ、どっちだったかなあ」とか「そんなことは言っていないよ」とか。挙げ句の果に「バカにするな、俺はボケてないぞ」と怒り出すのが普通です。残念なことにそれが普通なのです。健全な80代は痴呆症なのです。

10年後の日本は本当に心配ですね。