どこからともなく、突然「紙のお札を維持するのは大変だからやめたほうがいい」と高齢のかたが言い出しました。そんなばかなはずはないのです。あわてて調べてみると、野村総合研究所が経済産業省の依嘱でそういうインチキなペーパーを出していました。
電子決済は手数料5%
とにかくこの国の高齢者は毎年何十億円と詐欺師にだまされているくらいなので、赤子の手をひねるより、というよりバブルで儲かったお年寄りの脳みそをだますのは赤ん坊をあやすより簡単だということがわかって、本当にがっかりしました。
韓国が電子決済が進んでいて9割以上だといいます。本当なんでしょうか? 数年前に韓国に行って、焼肉屋さんで、5000円も食べたのに、クレジットカードで支払おうとしたら現金じゃないと、5%手数料をもらう、と言われました。そんなことは街のいたるところであって、クレジットカードが使えるはずなのに、現金で払うと安くなったりすることがたくさんありました。
何かの間違いなのだと思います。クレジットカードを使える店の数を何か特別な分母を使って出しているのでしょう。そんなはずがないのです。だって、クレジットカードとかデビッドカード、あるいはなんちゃらペイって、みんな手数料がお店側にかかるんですから。
たしかに、クレジットカード決済をすると、消費者にはマイルがたまったりポイントがたまったりして、最大3%くらい還元される仕組みになっていますけど、それの原資ってどこから出ているかっていうと、販売店なんですね。もちろんクレジットカード会社や銀行は手数料分稼ぎになっているんです。
じゃあ、販売店はクレジットカードが使えるようになってお客さんが増えるでしょうか? 30年ぐらい前はそういうこともあったと思います。しかし、今は、現金だった人がクレジットカードで一生懸命マイルを貯めて海外旅行にファーストクラスで行くのが夢だ、とか言っている状態です。
手数料も昔は3%くらいだったのが、いろいろあって5%を超えているという話もあります。スマートフォン決済なら、設備投資が安いよ、という話がありますが、それだってプロモーション期間中が安いだけで、実際にはタダのものなんて地球上にありませんから、どこかでコストが発生していて、どこかでそのコストは回収されます。
なんのことはありません。現金決済がクレジットカード決済になったら、少なくとも全取引が5%税金がかかるのと同じです。手数料にも税金がかかりますから、手数料も昔より値上げされてます。
タダのものなんかどこにもない
昔は、すごいアナログでガチャっという機械を通してクレジットカードのデコボコをカーボンコピーで印刷されるようになっていましたが、今は、電話回線を使って決済されたり、コンビニのようなところはそれすらなくて、とりあえずそのクレジットカードの認証ができなくても使えたりするところもあるようです。
でも、そういう決済システムの端末だってお金がかかるわけです。QRコード一枚でいいよ、といったって、そのシステムの裏側には何百台というコンピュータがあったりそのプログラムがあったり、それってタダではないわけです。何千万円か使って投資されているのです。その投資は回収されるんです。それは結局、小さな商店のパン一個が、5円値上げされたり、というような感じで回収されるんですね。
だから、電子決済になる、ということになると、すごく社会コストはあがるんですね。あくまで、政府側のコストが下がるだけで、コストはどこかで発生していて、しかも当分というか実際には未来永劫現金との二本立てですし、そういう簡単で当たり前のことすら理解できない人たちがたくさんいるわけですから、いいSIerに好きなだけお金を無限にふんだくり続けられるわけです。
何千億円とか余計にかかるよね、って話なんですね。人口一人当たりにしたら何千円だよって、いいますけど、国民年金の平均が60万円でもういやというほど税金をもっていかれているのに、そんなお金がでるはずはないんですね。
ただ、最初政府からそういう話が出てちょっと下火になっているのはなぜか? っていうと、Windows7が今年いっぱいで終わってしまうので、政府や関連機関のコンピュータを総入れ替えしないといけないような話になっているので、それどころじゃなくなったからなんですって。本当にバカですよねえ。