えごま油が売り切れた、とSNSのニュースを見て、情けない老害だらけのこの国の行く末が絶望的だと若者が感じる理由がよく理解できる。テレビで言ってるから、とか、新聞が書いているから、と真に受けて購買行動に走ってしまう。自分の頭で冷静にものを考えるということができない世代の人たちがこの国を動かしたり、世論をコントロールしたり、あげくの果てに若者たちを潰している、という現状に無力感を禁じ得ず、しばらくブログをお休みしてしまうことになりました。
実のところ、郵政民営化に続いてNHKの民営化の諮問委員会が行われ、知人がそれに専門家として出席していたのですが、何しろあまりにも年配者の「信仰」が強いため、民営化してCMをガンガン流すようになったらそれをそのまま信じ切ってしまうだろうから危険だ、ということが一番の課題となり、廃案になったのですね。
ある特定の食品を過剰摂取することで不健康になることはあっても健康になることはなく、食品の常識は常に移り変わっていること、動植物の成分は栽培や飼育の餌や肥料そして環境に大きく起因すること、同時に効果の出方は個人差があるのはもちろん、人種や遺伝子、生育環境によっても大きく異なること、そしてメディアの健康情報はあくまでエンタテインメントもしくはさまざまな忖度や配慮による販売促進に過ぎず、そもそも信じてはいけないものであること、という「大人ならば知っていなければいけない常識」「情報に接するリテラシー」がここまで欠如している人たちが、私どもに助けを求めてきたときに、非常に残念で悲しいことに私どもができることは何もないのです。
8050問題、7040問題、高齢ニートの問題、そして、家族がうまくいかない大きな理由すべてに共通するのは、親が大人になれていない、現代の常識をしらない、親子間の常識の違いを理解できないことに起因します。親子や男女や上司部下など人間関係がうまくいかない場合には、双方の歩み寄りが必要になります。
稀にはどちらか片方が非常にまっとうで、片方が非常識ということはありますが、多くは両者が第三者に鏡になってもらって自分自身を映し、自分自身の問題点に気づき修正していくというのが大切です。そのために、さまざまなアプローチやカリキュラムが存在するのですが、テレビや新聞を都合よく盲信してしまう主体性のない人、アイデンティティがない人は、ほぼ私どもではどうすることもできません。
いっとき隆盛であった朝日新聞ですら、今や日本人の30人に1人も読んでいる人がいないメディアになっています。夕刊のテレビ欄の下の大広告には尿漏れパッドや老眼鏡の広告が出ているような有様ですし、投書欄のほとんどは若くて50代、70代、80代が論陣を張っています。すっかりロータリークラブペーパーと化してしまいました。
まだまだ60代以上の人は活字信仰が強く、というより強すぎる人が多くて、本当に残念です。「自分の本を作りませんか?」と出版社が宣伝を打っているのに乗っかって、50万円、100万円出して本を出版する人が多い時代に、まだ、本を信用しますか。本はほぼ無料で作ることができるのに・・・。
そして職業ライターがほぼ食べられなくなっています。「政界裏話」みたいな暴露本を出しても、30万円くらいの売り上げにしかなりません。しかもそういう本を一度でも書けば、もう取材対象は口をつぐんでしまいますし、そのための取材費も高額にならざるを得ません。つまり利益はほとんどないのです。
新聞やテレビも思考停止して、ほぼ企業や役所が発表した内容そのままを無批判に乗せていたり、安いかタダで協力してくれる識者と称する怪しげな人たちのコメントを載せるだけの媒体に成り下がっています。おいしい話は向こうから歩いてこない。これは鉄則です。
それにしても、ほとんどのNHKの番組は民間の製作プロダクションに丸投げされていて、紅白歌合戦のような看板番組ですら民放と同じ制作会社が作っているのに、「民放よりNHKはくだらない」と嘆いている残念すぎる人が非常にたくさんいることに辟易します。
20年前の常識は全く役に立たず、さまざまな洗脳から解いていくという作業は本当に骨が折れるものです。えごま油で思い出すのはエコナという油です。発がん性物質が入っていることは業界人は3年前から知っていたのに、良く売れる商品であることと発売元が大スポンサーであったことから告発されず、ヒット商品として売れ続けていたのですね。今の常識は来週や数年後には非常識になります。そういう危うい時代に私たちはこの何年も生き続けているということを自覚していて欲しいのです。