ひきこもり問題に対峙しておりますと、やたらに「俺を倒して行け」といわんばかりに登場するのがSPEC至上主義者のおじちゃんやおじいちゃんたち、です。

SPEC至上主義者っていうのは「いい大学、良い会社、高い役職」のことなんですね。80世代となりますと、これに加えて「家柄」とか「出身地」さらには「生まれ年」まで加わってきます。もちろん年齢はそのかたより低いのですけど、相談者さまのお子様より高いのか低いのか、ということをはかっているようなんですね。

ひきこもりは日本病です、と言いたくなるほど、逃げたくなります。めんどくさいめんどくさい。もう、いいかげんおじいちゃんなんで、いつ何が起きるかわからないんですから、自分こそ住所氏名年齢血液型などを見えるところに縫い付けておいてはいかがですか、と思うのをこらえながらお話するわけです。

こういうめんどくさい、おじいちゃんやおばあちゃん、ではなくて、お父様やお嬢様、の大事なだいじなお子様たちですから、私どもも、後で変なことをチクられないようにするために細心の注意を払って・・・なんてことをやっていると、いつまでたっても学歴のない若いエリアマネージャーに「じじい! 聞いてんのかよ!」と怒鳴られるようなアルバイトに就労できるようにはなれないよなあ、と距離を感じてしまいますね。

SPEC至上主義者たちは、自己啓発本もたくさん読みこなしているのか、言うことも立派です。ただ、苦しそうなんですね。それは子供がニートだから、というわけでもないようです。

すべてに無関心、すべてに気もそぞろ、そんな印象を受けます。時間にシビアですし、何か余裕がない、ゆとりがない。冷たい印象を受けます。居心地悪いんだろうな、と思います。

スペックって、日本人は気にする人が多いですけど、たいていはオーバースペックなんですよね。ハンバーガー焼くのには学歴はいりませんから。車でもなんでもオーバースペック。たいていの道路は軽自動車で十分。自転車で十分。

マンションの40階とか。なんなんでしょうか。マンションの高層階に住んでいる人は偉そうな人が多いです。15階建ての15階に住んでいる人と50階建ての15階に住んでいる人は、前者のほうがすごく偉そうです。

バブルの頃は、恵比寿っていうな、広尾って言え、とか言われて、もう恵比寿駅のすぐそばまで広尾っていう地名になって、広尾だとおしゃれ、恵比寿はビール工場、とかでしたけど、最近は恵比寿のほうが人気があるので、「地名は広尾だけど本当は恵比寿なの」と言うようになりました。正直、どうでもいい。

年を取ると、物忘れも激しくなって、細かいことはどうでもよくなるはずなんですが、まあ、とにかく、自分に都合の良いことは覚えていたり、あるいは自分に都合が良いように覚えていて、自分に都合が悪いことは全部他人や悪人のせいにする、なんて人もいます。SPEC至上主義なのに。

「私は詐欺師に騙される人間ですよ」ということを宣伝するように、自分がいかに騙されたか、をとうとうと語る方もいらっしゃいます。それは「いい人アピールなんですか?」とか、頭にハテナの山を作ることもあります。

まあ、しかし、知り合いにこういう人もいますよ、という話で、お客さんにこういう人がいますよ、っていう話ではないんですが、不思議と、こういうことをブログに書くと、そういう人が現れるんです。そういう偶然て私だけなんでしょうか?

まだ今はスペックで語っても相手にしてもらえますけど、そのうち、「大学にいかれたんですか? 勉強が好きだったんですね」といなされてしまう時代が来ると思います。そのときに、もっと好きなことに時間をつかっておけばよかったな、と思っても遅いんですけどね。