川島さんてさあ、毎日、バカ親ばっかり見てておかしくなったりしないの? と気遣ってくださるかたもプライベートではありがたいことにおりまして、本当にありがたいのです。おっしゃるとおりなんですね。バカ親は疲れます。

子供に嫉妬する幼稚すぎるバカ親

中でももっとも疲れるのが、この、子供に嫉妬するバカ親というやつです。こういう話は、ほとんど海外ではききませんね。聞いたとしても、幼稚すぎる、ということで親がカウンセリングに通わされます。子供を育てることができないからです。下手をすると子供を殺してしまうんです、こういう親は。

言うまでもなく、子供は親から愛されたい。これは、たとえ親が殺人鬼であろうと、とてつもなく醜悪であろうと、自分の理想とかけ離れていたとしても、ほとんどの子供は、自分の親から愛されたいし、愛されるためにどんなことでもしようとする。それは本能的なものかもしれませんよね。

愛情不足で育った子どもたちが大人に

親を早くになくしたり、夫婦不仲のあげく離婚してしまったり、愛情不足で育った子供は、大人になっても幼稚であることがよく知られていて、欧米ではそちらの問題のほうがはるかに大きな問題となっています。

日本は放任主義が当たり前のような時代もあり、今は過保護だと言われていて、たしかに欧米は少なくともある年代までは非常に過保護に育てますが、小学校5年生くらい、遅くとも中学生くらいには親が子供を一人前に扱います。しかし日本ではそんなことはまずなく、大学の入学式に親がついてくるのがあたりまえ、その入学式の祝辞にブログでいちゃもんを書いて当たり前、とかいう変な社会になってしまいました。あれでまともに子供が育つとは思えないのですが。

しかし、放任主義というのは、親にとって都合がいい放任主義であることが多く、「肝心なときにお母さんがいない」「いてほしかった」「見てほしかった」そういう心の傷をたくさん聞くことがあります。この国には愛情不足で育った子供がすごくたくさんいます。

欧米では「まともな親」が日本では立派

日本では、中学生ぐらいの子供に、「○○くん」とか「〇〇さん」と話しかけている親はほとんどいません。それじゃあだめなんです。子供がいつまでも乳離れしない。自立しない。自立を促すためには自律的に行動させないといけない。そのためにはいつまでも親の付属物ではだめなんです。

ところがこの国の親は、子供は親孝行が当たり前、とでたらめな自分勝手なことを言って子供をしばるのがあたりまえであるかのように言います。そんなことは絶対にありません。孝行をしたい時分に親はなし、というのが当たり前だったじゃありませんか。

親に受けた恩は子供に返す、それで人間は栄えてきたのです。会社でも、先輩から育ててもらったけど、それは後輩を育てることで恩返しし、それで会社が栄えていき続ける、そういう美学だったはずです。どこで狂ってしまったのでしょう。

欧米では子供がある程度の年齢になったら、服から何から全部好きにさせる。クリスマスプレゼントを喜ばなくなった頃から、子供を可愛がる時期は終わったのだと悟り、自立心を育てないと自立できなることを知っているし、それが人間の権利だということも知っているので、それを尊重する。

つまり、欧米の普通の親は日本だと立派な親だ、ということになってしまうわけです。もちろん、欧米にも教育パパとか教育ママみたいのはいます。家業を継がせようとする人は日本よりはるかに多いのではないでしょうか。また、なんとかジュニアとかなんとか4世みたいのがゾロゾロいます。でも、親にべったり、ではありません。

子供が親の事業をついだとしても、そこはビジネスライクに話をする。まあヤクザな世界は違うのかもしれませんが。ゴッドファーザーの影響が大きいのでしょうかね。

子どもにいじけて見せる駄目な親まで

子どもが母親になつきすぎて、自分にかまってくれなくなることで、子どもを嫉妬する父親は非常にたくさんいます。嫉妬したくなる気持ちもよくわかります。しかし、だからといって、ダイレクトに子どもに、「お母さんに甘ったれるな」などと叱り飛ばして、家から追い出すような親は、どうなんでしょうか。

他人に対しては「うちの子は、頭がよくてこんなこともできるんですよ」とひけらかすくせに、家では「あんたは誰に似たのか、頭がよくて、こんなことも簡単にできていいわね。お母さんはそんな時間なんかないわよ」とか、子どもが友達とゲラゲラ笑っているのを見て「おうおう、お前らは楽しそうでいいな。おれなんか笑ってる余裕なんかちっともないよ」

さらには学校教員まで子どもにむかって「生意気なガキだな、邪魔くせえ」と罵倒するに至っては、この国じゅうがそりゃあ駄目になるよね、と思ってしまいます。まあ、その結果として、現在があり、8050問題は解決しないし、パラサイト問題も解決しないのです。

すべては、親世代が撒いた種であり、放置され、野ざらしになったまま、見捨てられた「常識」なのですね。それを正当化し続けている間は、こうした問題はとてもとてもこじれていくだけで解決はありません。

まずは親がまともにならないと

8050問題の根本的な解決を行うためには、親を治療しないと駄目なんですね。親の考え方、子どもへの向き合い方を直さないと、付け焼き刃で子どもだけ、いろんな心理学を教えたり、生き方や対処法を教えても、一番近くて濃い存在である親が丸で駄目夫のままでは、それは無理というものですね。