80世代のみなさまにおかれましては、老後の生活を謳歌されているかたも数多くいらっしゃると思います。専業主婦家庭であっても夫婦で20万円くらいの年金が出ていて、自宅も持っていて、ぜいたくはできないけどそれほど貧乏でもない、という状況ではないでしょうか。

バブル逃げ切り組への恨み節

私たち世代は残念ながらそうはいきません。一部上場企業で定年まで勤めても退職金が800万円しか出ないというお話はしましたが、年金も14万円しか出ないのですね。しかも、住宅を買う資金もありませんでした。

つまり一部上場企業は若者の年収を以上に低く抑え、管理職になったら年俸1200万円となり、退職金も3000万円くらい出るので、5000万円くらい貯金ができるようになる(40代以降)ということだったんですね。

ところが、バブル入社組が大量だったためポストがなくなって一生平社員という人が数割出てしまいました。それでもバブル入社組は平社員でも年収900万円という人がざらにいて、実家から通い、独身でつつましやかな生活をしていたならば、早期退職優遇で2000万円もらえ、1億円の貯金を持って57歳でリタイヤ、ということもありました。

1人ならば年300万もあれば悠々自適ですから、全く問題なく一生暮らせる、お金貯めすぎちゃった、というようなことも言われました。ところが上がつかえているため出世ができず、下は就職氷河期で人が入ってこなかった上、保身しかできない上司に当たった場合には、年収も異様に低く抑えられ、上に述べたような老後見通しなんですね。

バブル逃げ切り組への恨み節のひとつも言いたくなってしまうわけです。本当のバブル逃げ切り組は現在の60歳ぐらいまでなのですが、55歳くらいでもバブル末期入社組がいて、たいした能力がなくても数千万円の貯金を持つことができたのでうらやましい限りです。

正規雇用が夢だった僕らはもう中高年

就職氷河期世代以降は大学出で就職できた人がずっと6割しかいない状況が続いています(政府は統計をごまかして実際にはほとんど就職できたように見せていますが、家事手伝いなど、就職できなくて、かつ就職をあきらめた人をはずしていますので実質は6割で変わっていません)。

就職できた6割も最初から非正規雇用、つまり派遣会社に登録しての最低時給に近いような仕事、というのがいくらもあります。年収300万円台で推移し、我慢していたら一瞬600万円を超えてうれしかった、という話もあります。また、結婚することで世帯年収を600万円にすることで、なんとか生活が安定しているという人もいます。

こうした人たちはもっと年金がもらえません。そしてさらに若い人たちになると、年金の支給年齢が70歳になる、という話があるのですけれども、現在のなんちゃって人手不足ではなく実効求人から考えると、履歴書が真っ黒な状態で転職を続けていても55歳くらいで仕事がなくなっちゃう可能性があります。正規雇用が夢だった僕らはもう中高年なんです。

僕らは死刑囚。僕らはみんな老後破綻。

派遣労働の仕事もなくなってしまって、これから15年間無収入で暮らせるのか? という話なんですね。もちろん無理です。私たちは年金をもらえていても、月に10万円くらい足りないから、500万円くらいたくわえが残っていたとしても5年くらいで枯渇してしまうので、70歳から先は老後破綻。

しかし、15歳くらい若い人たちは55歳から老後破綻。つまり2035年にはさまざまな職業がなくなることも含めて、55歳以上の人たちがいっせいに老後破綻になってしまうんですね。人は誰でも死ぬので僕らは死刑囚です。子供から年寄りまで全員死刑囚。でもその前に僕らはみんな老後破綻があるんです。

その時点での55歳以上の全人口における人数て6割ぐらいなんじゃないでしょうか。今現在で生活保護のシステムが機能しなくなっているわけですよ。今時点ですら、本来受け取る資格のある2割ぐらいの人しか生活保護を受け取ってない。ベーシックインカムなんて夢のまた夢ですよ。

しかもこの予測ってあくまでインフレがなかった場合の話なので、インフレがあったり、また原発の爆発的な、大地震大津波のような、来ると言われている南海トラフ地震のような、あるいは箱根や富士山の爆発のような大災害が起きた場合には、もっともっと税金が高くなり生活困窮度合いが増してしまうので、社会システムの崩落がもっと早く訪れることになります。

人口減ってるのに危機感なさすぎ

まだまだ世の中、町おこし、とか村おこし、などとのんびりしたことを言っていて、そこそこ食えるだけのお金も出ているようなんですが、もうすごい勢いで人口が減っている地域が日本中にあるんです。人口減っているのに危機感がなさすぎます。

つまり、日本の人口はしばらく前から減り始めていて(でもそれまでは増え続けていた)しかし世帯数は増え続けているし(独立したり別居したりが増えているので)、田舎にすめなくて都会に出てきたり、特に東京圏の人口は増えています。

破竹の勢いで高層マンションをたて続けているのと、不動産2025年問題と呼ばれる、生産緑地の宅地課税ということで、山手線から20分圏内にたくさん小規模農地が残っていたものが、どんどんアパートや住宅に変わっていくという楽観的な予測があるのですね。特に日本人は新し物好きだから、という背景もあります。

ですけどね、お金がないんですよ。生産緑地も親から受け継いだ農園を一応やっているものの収入は大したことないし、100坪程度の土地が多い。中途半端な大きさの農地が多いのですね。

アパートは10戸以上だと広さ制限があるので、8戸とか、変則的に広い部屋を作ったり、店舗併用とかもあるのですけど、採算性がよくない。ざっくり黒字化が難しい。

2030年くらいまでは団塊世代もパワー持ってますから、強気の日本、みたいな姿があるのかもしれませんが、80歳がいくら吼えても、65歳以下がなかなか年金にすらたどり着けないし、たどり着けたとしても年金では到底暮らせない。

55歳以下の4割も働けていないし、働いている人も大量の税金と社会保険料で手取りがなかなか30万円に届かない。続きはまた明日。今日は老後破綻の年齢が55歳まで下がりますよ、ひょっとしたら50歳かも、というところまで。