川島です。ひきこもりの方からのお電話もお待ちしております。

いじめは突然やってくる

私もひきこもりでした。不登校も経験しました。少年時代は、あらゆる同級生、先輩、後輩、学校の先生から街の大人たちからまでいじめられました。

毎日、いやいや学校に登校し、泣かされて帰る毎日でした。親からも虐待されていたので、親や兄弟はまったく助けてくれませんでした。

先生が見ていない隙にいじめは起きます。先生が来ると今まで私殴っていた同級生が突然泣き始め、川島君にいじめられた、といい始めます。体格で勝っていて、コミュ障だった私は説明もうまくできず、教師から怒られました。

そのうち、親も教師も「あなたの被害妄想よ」「あの子達はあなたと遊んでくれているのよ」と言い始めました。かなり後になって、私の親が親戚の子供を子供の頃によくいじめていた話を聞きました。「あの人からあなたのような立派なお子さんが生まれるとはね」と。

クラス全員が私をいじめているように見えました。実際にはいじめっ子グループは2つあって、全部で8人程度がいじめていただけですが、ほかの人は傍観者で、自分が被害にあわないように見て見ぬふりをしていました。誰も先生に告げ口はしませんでした。

見ぬもの清し、という邪悪な日本文化

現在のDV法では、傍観者家族もDV加害者と認定されますが、当時はそのような知見はなく、「見ぬもの清し」という文化がありました。それは今でもそうです。

今でも、一番実効性のあるいじめの対処法は「逃げる」です。とてもハードルが高いですが、それしか方法がないかもしれないです。職場でいじめが発生した場合は「会社をやめる」しかありません。

いじめは必ずエスカレートし、相手を殺すところで終了します。いじめは殺すための前戯であり、殺すことで目的が達成されます。もちろん、「殺すつもりはなかった」と言います。刑務所に入るのが嫌だからです。

世の中のほとんどの大人も、「いじめを放置すると人が死ぬ」という認識がありません。甘すぎます。いじめの首謀者は本当に悪気なく、簡単に人を殺してしまいます。

いじめっ子の親は、非常にバラエティに富みます。ほとんどの親は「うちの子に限って」と言いますが、共通項は見つかりにくくさぐりあてるのは大変ですし、さぐりあてても何も解決できません。

ひずんだ人間関係がいじめにつながる

概していえることは、「不調和な人間関係」の中で育った子供は自分も「不調和な人間関係」を作りやすい、ということです。ただいじめっ子になるか、いじめられっ子になってしまうか、はわかりません。いずれにせよ「普通の子供」にはなりにくいのです。

不調和な人間関係、ひずんだ人間関係、と言い換えてもいいでしょう。それはDV(ドメスティックバイオレンス=家庭内暴力)であったり、離婚であったり、親のギャンブル、アルコール依存、社会規範から外れた日常的な行動、借金、などが典型的ではあります。

しかし、子供は多感であるため、たとえばお小遣いを店のレジからもらったり、実家が飲食店で、酒に酔った常連さんが頭以外のところを触ってきたり、ということだけでも傷つきます。

DVというと殴る蹴る、がわかりやすいですが、言葉による折檻、だけでなく、子供に向かって「死ね」「くそがき」という親もいますし、舌打ちひとつでもものすごく傷つきます。

ひきこもることでコミュ障になる

壮絶ないじめられ体験は十年以上も続きましたが、なんとか生き残ることができました。コミュニケーション力も、自分で、テレビとか見ながら少しずつつけていきました。

今でもアドリブにはあんまり強くなくて、常に頭の中で、次にこういおう、ああいおう、って考えています。もう練習あるのみ、で日々練習なんですよ。

ひきこもりになるとコミュ障になります。人と接しなくなるから、他人の気持ちがよくわからなくなるんですね。自分に自信がなくなりますから、自分の考えを言っていいのかわからなくなります。

言おうとした言葉を引っ込めてしまったり、言い出せなかったり、「正しいかどうか」が気になってしまったり、そもそもそんなことを言う資格は自分にはない、とか思ったりしちゃいます。

会話でストレス解消できなくなると危険

会話でストレス解消ができないとストレスがたまる一方なのに、会話することがストレスになります。できるだけ人間を避けて外出するようになってしまいます。

すると家族からはますます不審がられますし、いろんな「正しいこと」を言われてしまいます。いっぽう、自分の中の不安なことを質問しても、全否定されてしまったりします。そうすると消えてしまいたくなってしまいます。

ほかの人とのコミュニケーションがうまくいかなくなると、自分ひとりの頭の中で二人の自分が討論を始めます。その二人の自分が外から見えている自分に命令しだしたりします。もうどれが本当の自分だかわからなくなってしまいます。しかし、家族などはその苦しみをわかってくれないのです。

なんにもしていないし、なんにもできないけど、すっかり疲れ果てしまうのです。もうテレビも映画も楽しむ余裕などありません。自分がどうしたらいいのか、不安と疑問でパンクしそうになります。

インターネットを調べだすと、混乱は増すばかりです。インターネットはなかなかよい答えを見つけてくれません。自分よりはるかにスペックがよさそうな人が「人生詰んだ」とか言うのを見て気持ちが休まるわけがありません。

ひきこもりを助ける能力のある親はいない

本当に苦しんだことがある人しか、その苦しみはわかりません。私が電話を受けたとして、二つの方法を提案します。ひとつはとにかくカウンセリングして、気持ちを一度すっきりさせてから脱出に向けて努力する方法、もうひとつは、とにかく自分を取り戻すための最短距離を走る方法です。

親に相談しても、親はひきこもりになったことがないか、ひきこもりを見下しているか、あるいは、あなたを愛しすぎてしまっているか、なので、他人の介入を好みません。苦しいようでしたら他人に助けを求めることです。それは恥ずかしいことでもなんでもありません。次に自分が他人を助けられるチャンスがあるかもしれないんですから。