「他人は変えられない!」

もしあなたが「うつ病更生プログラム」に放り込まれたら、たぶんそこの職員は、勝ち誇ったように、こう言い放つでしょう。「過去と他人は変えられない」と。

明白な嘘です。

その職員は、その嘘を力強く言うことで、アナタを騙そうとしています。なぜ騙すのか? それを信じてくれていると、認知行動療法を行うために都合がよいからです。

つまり、その職員は、あなたを騙すことで、あなたを変えようとしているわけです。こんな明白な矛盾に誰も気づかないなんて!
みんな、頭がおかしいんじゃないの???

そもそも、学校であるとか、更生施設であるとか、刑務所であるとか、そうした強制的な何かをさせるような施設、というのは、その強制的な何か、によって人間を変えようとする「機関」なんですね。

そういう機関は、会社であるとか、もっと言えば「日本社会そのもの」がそうです。会社は、たとえば業界によってまったく言葉の意味が違います。そして会社によっても違います。

ある会社での「正しさ」はある会社では「ダメ行為」です。ある企業でのコンプライアンス基準は、別の企業では「話にならない。懲戒免職」です。

具体例を挙げましょう。「地球にやさしい」という言葉を聞いたことがありますか? エコマークというのがありますが、これは地球にやさしい、がスローガンです。

しかし、これに異を唱え、それは嘘だろう! と言ったのが家電業界です。「やさしい」というと、まるで何もしないよりよいことをしているように思えるじゃないか、だけど、環境には負荷をかけ、地球を汚しているじゃないか、というわけです。

「じゃ、なんていえばいいの?」「環境に配慮した」と言いましょう。というわけです。ところが同じエアコンでも、いやあ、配慮したじゃ、なんか、忖度しすぎてませんかね? そこで、 環境にやさしい、でどうよ、とか言う会社も出てくるわけです。

それって意味わかんなくない? みたいな感じで、今度は、地球の温暖化防止に配慮、なんていい方が出てくるんです。

他人は変えることができます。そうでないと、あなたの環境は変わりません。働きたくない人はずっと働きません。育児放棄をした親などは「刑務所に入って根性をなおしてもらうしかない」なんてことを平気で言います。そんなことをしなくても、そんな脅しを言わなくても、人は変えられるし変わります。変わるきっかけさえ与えてあげれば、本当におもしろいように変わります。

もちろん、必要に迫られなければ、他人を変えることはできません。自分を変えることすら無理です。自分の習慣を変えることすら無理なんです。他人は変えられない、だからあきらめて自分を変えましょう、というのでは負け犬です。それでは世の中をよくすることは不可能です。負け犬を作る教育など許されるものではありません。しかし、それが行われている実態もあります。

もちろん、昨日までニートだった人が、コンビニにバイトに行って、オーナー店長に、「もっと俺が楽したいから、商品の検品なんかやりたくない」というわがままを言っても、それは無理です。働いているといやなことは山のようにあって、それを全部他人の責任にだけしていると、それはそれでダメ人間が出来上がってしまいます。

しかし、うつ病になるような人は、そんなダメ人間であるはずがないのです。人一倍マジメな人ばかりです。そういう人たちよりもっと不真面目な人が、自分よりはるかに優れているマジメな人を捕まえて、「他人は変えられないからアナタの考え方を変えろ」とマジメな人を変えさせようとする教育は、間違っているんじゃないんでしょうか?