昨今の言説では、一部の精神科医までが、「ひきこもりの多くは精神疾患だから精神科に見てもらうべき」という言説を垂れ流しており、由々しき事態であると考えられます。

殆どのひきこもりは精神疾患ではありません

そんなに商売に困っているのか、あるいは個人的な怨恨でもあるのか、それは差別以外の何者でもありません。ひきこもりと精神疾患に医学的な関連性はありません。あるのであればぜひ証拠を見たいものです。

さまざまな不幸な出来事が重なったり、特にこの10年ほどは80世代がまったく感じていないだけで、当事者はひしひしと感じている平成大不況により中高年のリストラ・雇い止めが激しく、仕事がなくて「隠居」せざるを得ない状況が深刻化しているのに、いんちきな有効求人倍率などでさも選ばなければ仕事はいくらでもある、という演出が行われ、世代間の認識の齟齬が拡がっています。

70歳代以上の人たちは、ありていに言えば自分的は卒業した世代であり、自分的より下の世代は70歳まで働くのが当たり前だし、仕事もあるはずだ、といわんばかりですが、実際には本当に仕事はなかなかなくなっているのです。

ほとんどのひきこもりの人は精神疾患などではありません。働く能力も体力もあるけれども、独立して結婚して家庭をもてるだけの給料をもらえるような仕事がほとんどなく、やむを得ずひきこもりになっているのです。

50前後で、高学歴で博士号を持っていたり、優秀なプログラマであったり、優秀なセールスであったりした人たち、さらには英語が堪能な人たちまでもが職につくことができない、そんな時代です。

努力や学習でひきこもりは脱出できない

そういう状況を俯瞰できていないので、いまから英語を一生懸命勉強したり、プログラムを学んだりということも、ひきこもってやっているかたもいるわけですが、徒労に終わるかもしれません。 努力や学習でひきこもりは脱出できない のです。

たとえば今ブームの人工知能を操る言語としてパイソンという言語がありますが、現在、このプログラマは大量に養成されていますし、実戦経験がないプログラマは市場ではほとんど価値がないので、なかなか武器になりにくいところがあります。

確かに過労や不幸な出来事などによって精神疾患を患い、それが離職や不登校の原因となり、そのまま社会に再参画することができなくなった人も一部にはいます。そのうちの多くはそれが許される家庭環境に育っているため、その家庭そのものが社会から孤立しがちであることも事実です。

あるいは家庭内暴力や不和などにより家庭が崩壊し、そのためにひきこもってしまう場合などもあります。しかし、それは数百万人いるネオひきこもりのごくごく僅かでしかなく、ひきこもりは精神医療の分野とはいえません。

最大の問題は、たとえば介護離職などをしたあとに、中高年のまだ頑健で働ける人でさえもなかなか受け入れないという現実です。精神疾患からの復職というのもなかなかままならないので、ひきこもりイコール精神疾患のような暴論はとにかく撤回していただきたいものです。あまりにも8050問題の現実を知らなさ過ぎるとしかいいようがありません。