若いお医者さんたちがピンチな状況が続いています。歯科医はいわゆる「お医者様」ではなく、技術者ですが、それでもコンビニエンスストアよりも数が多く、都会では、5分歩けば必ず歯科医院に当たるような状況です。そして、歯科医は診療報酬という国が決める保険診療の一律費用に縛られ、自由診療(患者が全額負担する健康保険が効かない医療)のインプラントや白いかぶせものをしないと病院経営がままならない状況に、少なくとも5年前から、あります。
病院経営が厳しいのは歯科医院だけではありません。本事業とも大きくかかわる精神科医も同じような状況です。21世紀の初めごろ、うつ病は「心の風邪」というインチキなスローガンにより、日本で爆発的に増え、独立開業する精神科医も増えました。精神科は、レントゲンやMRIのような診察機器もいらなければ、採決の必要もないため、開業費用が500万円程度(本当はもっと安いのですが)と手軽なため、開業しやすかったのです。
しかし、本来、精神科では、患者さんの話をよく聞き取る必要があるのですが、最初のインテーク面談は別として、通常診療ではあまり時間をかけることができません。現在の診療報酬では、問診が30分以上になったとしても、保険点数で70点、費用で700円、患者は三割負担で210円、自立支援で1割負担の場合70円しか差額がありません。
病院経営のためには一日20人から30人の患者を見ないといけませんから、一時間に一人とか二人しか相手ができないと、どんな腕のいいお医者様であってもひとたまりもありません。借金の山になってしまいます。そこで、医者が患者を飼うようになります。安定した経営のためには300人くらいの、薬をもらいるづけてくれるだけの患者がどうしても必要なのです。
もちろんお医者様も、この状況をなんとかしたいとは思っているのですが、医師法や診療報酬で縛られている以上いかんともしがたいという実態があります。結局、一回に支払うお金が3000円程度であっても、病気が治ることなく、10年以上治療する羽目になります。50万円かかっても精神病が治らない、そんなことは本当はないはずなんですが・・・・。