生業として、駆け込み寺」をうたっておりますと、「お金を出すのだから、問題の解決をして欲しい」というご希望を頂くことがあります。しかし私どもができるのは問題解決の支援までです。解決は問題を抱えているご家庭のかたがご自身でなさっていただかないといけません。
このように申し上げると、突き放した言い方のようにうけとられるかもしれませんね。もちろんそんなことはありません。私どもは問題の解決に立ち向かい、親御さん、お子様のそれぞれに寄り添うようにお付き合いをさせていただきます。
ただ、問題の解決は、他人から与えられるものではありません。逆に言いますと、私どもが「これで解決ですね」と申し上げたら、それで納得できるのか? という問題が残ってしまうのです。自分たちが望む形になること、それが当初、漠然と考えていた「理想」との食い違いがあるにせよ、ある程度のところに落ち着いた感じがする、変わった手ごたえを感じる、それが「解決」です。
アメリカの俳優や地位の高い人が義務付けられているようなインプラントでの歯並び改善のような作業をすれば、確かに見てくれはよくなります。ただ、それだけです。人間の中身が変わるわけではありません。家族の問題がそうした小手先のことで変わることもありません。
「昔のような関係になりたい」と時計の針を引き戻すことはできません。そのいっぽう、感情のもつれとなった発端は、意外に当事者の間では語られないことがあります。他人から見てもほんの些細なできごとから自分の人生の流れが変わってしまった、と思い込んでいるかたもすくなくありません。
多くのご家族が、ほかの家族に対する、誰にもぶつけようのない不満、不信で爆発しかけているいっぽう、自分を責めてみたり、的外れな批判をしてみたり、精神的に完全に参っているような状態になっています。
まずは、私どもが、すこしずつヒアリングをしていくことで問題の根っこを探し出すこと、漠然とでも、自分がどのように変わっていけばいいか、家族がどのような関係になれるのがいいか、という「答え」を発見していただくことができるといいのですが。
どうしても長期間不安定な状態が続いておりますと、思い込みや決めつけ、もありますし、その人の中での「常識」を探る必要があります。家族の「ありたい姿」は家族ごとに違います。ですから私どもは解決イメージのご提案とカウンセリングを行ないますが、解決は家族のみなさんのそれぞれの小さな努力の積み重ねによってもたらされる、と考えております。