8050問題(はちまるごーまるもんだい)を良く理解できていない、という方のために総論・課題・解決方法を提示して欲しい、というリクエストを頂きます。年も改まりましたので、改めてこの問題に回答したいと存じます。

まず総論として、80代前後の高齢になる親御さんの年金・貯金に50代前後のお子様(と言える年齢ではありませんがしかし)が諸般の原因により生計を依存している状態のご家庭が日本全国に100万世帯以上あると言われていて、実態把握が行なえていない、親御さんが病気や事故でお亡くなりになったとき場合、現時点で自活できていないお子様の安否が気遣われる、というところがもっともクリティカル(せっぱつまった)な状態で、現在進行形で状況が悪くなっている、改善の道筋が見えないというのが8050問題の「現象」です。

8050問題は独立した問題ではなく、現代問題研究所が永年扱ってきた様々な社会問題、人間関係の問題やいじめの問題、日本社会の問題、新人一括採用問題などと大きく関わっています。従って7040問題(ななまるよんまるもんだい)が8050問題の本丸という人もいます。(もちろん8040世代もすでにいます)

50歳台はバブル入社組世代とも言われ新卒一括採用時点では華々しい内定拘束などを受けた世代でもありますが、40歳台は、受験戦争はあったのにいい大学を出ても就職が全くなかった、いわゆる就職氷河期世代に当たったこと、その上の世代がそのことに共感してもらえなかったことも大きな挫折要因になりました。「団塊ジュニア世代」とも呼ばれ、人口動態比率が50歳代に比べ非常に多いことから10年後、20年後がとても心配、と特に当事者が一番心配しています。

課題や原因、この先の障害も山積みです。列挙にいとまがありません。総論は非常に乱暴なくくりであって個別具体的には一人一人がさまざまな挫折を味わい、問題を抱えています。いじめで登校拒否になり、そのまま現在に至る、という簡単な話ではなく、何度も立ち直りのチャンスはあったけれども潰されてきた、しかもそのことはその本人しかわからない上、なかなか話をしていただけない、まして親には話せない、というケースが多々あります。

日本の社会問題の常として「自己責任論」を声高に言う無責任な人で圧が強い人が登場するのも困った要素です。その方々は「解決のための善意」で「自己責任論」を唱えているように伺えるのですが、「いじめられる方が悪い」類いの自己責任論は無知を通り越して言葉の暴力と言っても過言ではないでしょう。厄介なことに当事者の関係者が本人達に直接言えないがためにそうした暴論がインターネット内に渦巻くことになります。

解決のための課題としては、当事者、特に生活依存をやむなくせざるを得ない人に「うまく寄り添える人がとても少ない」こと、「親子での育った時代背景が違うから価値観が違うのは当たり前なのに同調圧力が働くこと」でしょうか。加えて言えば「一般化・分類・レッテル貼りしたがる人が多い」「差別的に見られることの恐怖」もあります。

繰り返しになりますが、生活の糧を現状、自分で得られていない人がそうなるに至ったきっかけなり理由は一人一人違うのです。ですから、何十人か束ねてパターン化、一般化された上でパターン化された対応をされたくはないのです。もちろん私どももカウンセリングの実践をしていますから、「似たような話」に出会うことはあります。しかしパターン化して対応できるとはなかなか考えにくいところがあります。

長くなりました。「うまく寄り添う」こと、カウンセリングについての話は稿を改めたいと思います。

また、8050問題のかなりの人たちを救うことが可能だと思われる解決策は、およそ興味がない人や、興味本位だけの人にはお話しても意味があることではありませんし、やはりお一人お一方の状況を知った上でないと言えないこともあり、すくなくともこういった場で著すことはいたしません。悪しからずご容赦願います。