とある経済評論家が「保険は博打、博打は胴元しか儲からないからやめるべし」としばらく前から唱えていて、そのせいでテレビ番組に出られないらしい、という噂があります。BS放送なんて健康食品と保険のCMだらけですものね。

生命保険だけは非課税の資産継承方法として推奨されていて、相続税の基礎控除3000万円に加えて、頭割り基礎控除が600万円に下がっているところ、一人当たり500万円継承できるという話があり、人気ではあります。

ただ、実際のところ、それだけの現金を持っていないと掛け金も支払えないわけで、高齢者に富裕層が多い、というのは実際は住居としている土地を昭和50年より前に購入していると莫大な資産価値になっているというだけの話であって、金融資産は驚くほど少ないのが実態でしょう。

しかし、都内に50坪ほどの土地を持っていると、坪単価100万円前後の相続税評価額になるため、ぼろくて古い木造住宅の資産価値は1円しかないのに、その家に子供が住み続けるためには5000万円相当の相続をしないといけないということになるわけですから、ひどい話ですよ(これについては稿を改めます)。

自動車を所有している以上は自賠責保険だけではなく通例任意保険にも入りますが、相手がある事故では「過失相殺」が行われ、全面的に相手に非があるような場合でも、身体の機能と車を失って、数十万円しか支払われないようなこともしばしばで、「裏切られた」気分になります。

損害補償保険はほとんど詐欺的であり、支払う意思が見えない保険も散見されます。特に携行品保険は、ほとんどがどんどん無意味になっていて、昔は高価なカメラやメガネ、あるいはパソコンなども保証されましたが、今はスマホを始めほとんどの携行品は保障の対象外にも関わらず、月数百円の保険を永年取られます。

二十年前に一度、非常に偶発的に、保険が支払われるサンプル文章とほぼ一緒の状況で電子機器が壊れてしまったのに、保険が支払われないアクシデントがありました。3万円の損害賠償を勝ち取るために、自分が入っている保険会社を相手取って裁判寸前まで行き、大変に手間がかかりました。

病気や怪我の保険も、支払われない事由が延々と書かれ、一度は断るのが手口なのか、請求しても断られるのがふつうです。病気や怪我で参っているのに、延々と戦わないとならず、戦えるぐらい元気ならば払わないという理屈のようです。

生命保険も、役所に届を出すと、年金はすぐにストップするのに(そのため最終月を請求し忘れる人も多いけれども役所も自動的には支払わない)生命保険は自動的には支払われず、中には家族が加入していることすら気づかなかったりして、とりっぱぐれる例も少なくありません。

どのような保険であっても、正当な請求権がある人が請求して初めて支払われるので、不幸な事故で、一家全滅のような場合に保険会社が積極的に遠縁の親戚を発見して多額の保険金を支払った、というような美談は聞いた事がありません。

保険会社も銀行も金融屋さんなので、私たちはそのメンタルの太さにはなかなか太刀打ちできにくいものがあるように思います。