終身雇用制度が維持できなくなりますよ、と言い始めました。実際にはもうとっくに維持できなくなっています。というよりそもそもそんなものはどこにもないに等しかったのです。

いわゆる終身雇用制度というのは、いってみれば、一部上場大企業で売り上げ一兆円ぐらいあるような会社、の話で、そんなものは、全人口の数パーセントにも満たなかったし、それ以外の会社は20年も持たないでばたばた消えていきました。

消えなかった会社でも、資本が入れ替わって、社員が入れ替わったり、買収、吸収されたり、合併なども盛んに行われました。あるいは事業内容がすっかり変わってしまったりもしました。

公務員は安心だよ、でもなくなっていて、たしかに東京都の職員は比較的安定的ですし給与も高いのでしょうが、それも上級職だけの話で現業公務員は非正規も多くそれほど給与は高くない。また、地方公務員は財政状況によるので、非常に薄給のところも少なくありません。

第一公務員だったはずの、公社だったNTTやJT、JRは民営化し、その折に駅員だった人が立ちぐいそば屋さんの店員に職種変更するなど、思いもよらない異動もありました。

古い会社ではエキスパートにならせてもらえず三年ごとに職場を転々とし、がんばる人はいろいろなエキスパートになるものの実務経験年数が少ないため転職に不利に響き、できない人は本当に外注任せでなんの能力も身につかず、使えない人となってこれからどんどん切られていきます。

ひとつの企業で数千人、あるいは数万人のリストラが横行していて、離職せざるを得ない人が非常に増えています。それでもまだ、日本企業であれば早期退職優遇措置のようなものがあり、多いところだと50か月分の給与が支給されるところまであります。

私が実際に知っている人ではわずか7年しか勤めていないのに5000万円もらって辞めた人がいます。その一方で、一部上場企業に新卒で入りながら、割り増しのない早期定年退職で800万円しかもらえないという現状もあります。

一部上場でこれですから、有名だけど業界として年収が低いような会社は、よほどの役職者でもない限り、せいぜい300万円とか、100万円とかですし、30代ぐらいでの退職金は多い会社でも200万円くらい、少ない会社だと10万円くらい。

よく不動産広告などで、70歳完済とか、退職金で残債一括返済、のような文字を見ますが、退職金が1000万円を超えるというのは、管理職をそこそこ長くやっていたような人であり、今は退職金を計算に入れて住宅ローンを組むのは間違いと言えます。

とにかく、日本企業の労働生産性は低く、収益意識も費用的効果も考えていないことが有名であり、外資系社員からすると文系大学生? のような生活があります。

そのためホワイトカラーのほとんどが不要になる時代がすぐそばまで来ています。まず一番いらないのが管理ができない管理職です。だいたい私は200人くらいの管理経験がありますが、3人くらいしか見ていない管理職は全員不要になります。およそ8割の管理職が不要です。

総務部とか人事部は全く不要です。本当は彼らは会社のすべてを把握していなければいけないのですが、何にも把握していないので、人材会社や清掃会社のようなところに業務委託すれば、担当の人間を1人2人おけば終わってしまいます。

最近はスマホ決済を行う電子マネーや、店舗がない銀行が増えています。要するに金融システムは無店舗でもATMはコンビニや駅にいくらでもあるので、3大メガバンクですら、ほとんどの要員は不要です。

金融、証券、保険、不動産は、もう少し利便性の高いシステムを導入する必要があるのと、手作業が多すぎますが、これらもパラダイムシフトが起きると、あっという間に社員30人くらいの会社で置き換わってしまい、業界と呼べなくなる可能性もあります。

関東圏でも人口規模30万人程度の市がたくさんあり、中心部こそ栄えているように見えるのですが、いまや一日に3人しか買い物に来ないような店が、まだまだ細々と経営をしています。

店の在庫の8割は換金不能な状態です。店主が高齢化しているため、身動きが取れていません。こうした店は、限界集落とともに10年以内に淘汰されるでしょう。つまり日本中の店舗の5割くらいは消えます。

昔は、大会社の正社員は「何があってもしがみつけ」でした。少なくとも10年くらい前までは。今は、「割増退職金が出てやる気があるうちに辞めたほうが勝ち」となりました。仮に再就職できなくともなんとか生きていける算段があるのなら、身体をつぶしたり、退職金が出なくなる前に辞めたほうが良い、という判断になってきました。

事実、私の友人のいた会社は、国際的な企業であったにもかかわらず10年間赤字経営が続いたあげく関連会社をどんどん統合していきながら、すこしずつ人が減らされていき、ついには同業他社との合併となり、そのどちらの会社とも割増退職金で人員削減が行われました。

しかし、合併後もなかなか黒字化せず、そのため、割増退職金なしに、どんどん人が削られていき、今度はさらに別の会社に吸収されるという動きが出ているけれども、何しろ赤字会社なので交渉がなかなかまとまらない。しかも今回は割増退職金が出る可能性が少ない、ということでした。

会社の経営母体が数年で変わる、つまり身売りする、ということは珍しくなくなってしまいました。何を意味しているか、というと、生え抜きの経営者では事業ができない、ということです。日本企業は会社を存続させられる人間を育ててこなかった、ということでもあります。

一年前まで、どこの会社も「うちにもゴーンさんみたいな人がきてくれないかなあ」と、十年以上言っていました。でもスティーブジョブズが来て欲しいという人はいませんでした。ただいずれにせよ他力本願です。私が会社を立て直してみせる、という人はどの会社にもいなかったわけです。

経営母体が変わることで給料が上がった、という話も聞きますが、給料を下げられた、という話もよく耳にします。そのあたりは運もありますが、会社に入った以上はどんな嫌な仕事でもやれ、という理屈はもう通用しなくなってきています。仕事が嫌だったら、どんどん仕事を変えるべきで、立ち止まっていてもいいことはまず起きません。

嫌な仕事、つまらない仕事がたくさんある会社は伸びることはありません。そういう仕事はどんどんロボットやソフトウェアがやるようになって自動化が進んでいます。

株価指標を基にしたような金融記事はもう人工知能が普通にかけるようになりました。人工知能といっても、要するに単なるコンピュータプログラムです。鉄腕アトムのようなロボットが必要ないということです。だから場所もとりません。

自分が身を置いている会社が世の中から必要とされているのか、だけではなく、世界の中でどういうポジショニングにいるか、そして自分はその会社の中でどういうポジショニングなのか、会社に未来はあるか、自分にどういう未来があるか、そういうことを一人ひとりがシビアに判断していかなければいけない時代が来ちゃってるってことです。

それを判断するのが難しい、という人は、たとえば40代以上社員大量割増解雇、というときに、辞めるのを選ぶことです。なぜならばそういう状態ということは会社の先行きがほぼないからです。そして、慰留されないのであれば、無価値と思われているからで、その会社に残っていても未来がないということでもあるからです。

確かに40代以降の転職は厳しいと言われています。当たり前です。40代以上の人を大量にやめさせていて、それに対して、求められている仕事は僅かなのですから。

それでも、特別な理由がない限りやめるべきだと思います。判断は自分ですべきだと思います。リストラして、立ち直れる可能性が高いのであれば残る選択肢もあるでしょう。優秀な経営者がいて、たまたま赤字が続いたが、まだ闘えるリソースの存在があるのならば、ですよ。

しかし、たとえば、ファンドに買われてしまった、というような場合は非常に微妙ですね。ファンドというのは、錬金術師でもありますから。会社の持っている財産が狙いです。そして一般的に人は財産ではありません。それは日本人だけが持っている特殊な概念です。

特別な人は特別な力があります。しかしそれは会社の買収の時にはあまり関係ありません。特殊な能力を持つ人をその会社に入れてコントロールすることはありますが、その過程で不必要とみなされた人は容赦なく切り捨てます。

ファンドが欲しがっているのは、ブランドだったり特許だったり、販売チャネルだったり、ロイヤルティを持っている顧客集団だったりします。場合によっては政治的な駆け引きの道具として会社を買うことさえあります。

やり手のファンドの場合は全く違う会社に生まれ変わらせ、市場価値を高めて売却することでファンドとしての投資効果を出します。しかし多くのファンドはそのような魔法が使えませんから、会社を「福袋」と見立てて買います。買う前に、本当の資産価値、売り上げや収益の中身、キャッシュフロー、バランスシートなど外形からわかることはきちんと調べ、条件をつけて買います。そのタイミングで、不要な人が削られますが、それは第一陣に過ぎません。

福袋の中身を送り込んだ役員が精査します。そして、シビアにばら売り方法、売る相手とタイミングを考えます。日本は、なぜか商売がとても下手でなんでもかんでも安売りしてしまうので、日本経済ががたがたになっているのに、外資への売却をやめません。

ある意味、日本政府は日本の企業の健全経営を見捨ててしまったようにも見えます。非常に奇妙なことです。ほかの国は自国の企業の世界進出を大使館がバックアップしますが、日本はそうしたことをほとんどしません。ほとんどの企業は自弁で海外に出て失敗して戻ってきます。

昭和時代の護送船団方式は非常に批判を浴びましたが、その後護送船団がなくなったのに、平成時代は昭和が続いているようなふりをしていました。そして、株価を上げ、昭和の頃の有名企業が順調であるかのようにみせかけていました。

しかし、電機業界は総崩れになりました。自動車業界と建築業界を一生懸命守っている状況ですが、非常に脆弱になってしまっています。国策で自動車産業を本当に守るのであれば、国内大手三社を合併させるべきだったのですが、それをしませんでした。

結果として、トヨタ以外は他国の企業との合併の危機にさらされています。もうどんな業界も世界でトップ2くらいしか勝ち残れない状況が見えてきているのに、日本の米にかけている関税のように、日本は日本、というプライドから抜け切れないでいるようです。