川島です。詐欺師グループの摘発がニュースになっています。おもしろいですね。子どもの引きこもりの解決のために払うお金はなくても、詐欺師にはらうお金はあるんですから。お金の使い方の優先順位がよくわかりませんね。いきなり法律で決まってる、払わないと多額の賠償金を払わないといけない、などという詐欺集団がずいぶん前から活動しているというのに、そちらの報道はないんですよね。

それはさしさわりがありますから、実名は出しませんが、渋谷方面に本部があるという、国が関与しているという会社です。ここはかなり悪辣でありまして。通常、若者は「送りつけ詐欺」と呼んでおりますが、要するに注文してない品物がいきなり届くのですね。そこで受け取り拒否をすれば、お金は引き落とされないのですが、受け取ってしまうと返品を断られて無理やり買わされる、という被害が大手通販会社で多発しています。

それのさらに、目に見えない版で、今回タイで摘発されたものより悪質なんです。勝手に、公共の電波を利用して、公序良俗に著しく反するような情報番組などを配信しておきながら、それを見てもいないし頼んでもいない人に対して「そうした番組を作るのに多額の費用がかかっているからいつまでに100万円払いなさい。払わないと大変なことになります」という文書を送ってくるのです。完全な恐喝です。しかし、国が関係すること、その団体の知名度があること、さらには、裁判とか、犯罪者扱い、という言葉に弱い年寄はあっさりと支払ってしまいます。本当に痴呆ですか、あなたは、と言いたくなります。

裁判というのは簡単なものではありません。まず、金銭を略取するためには、被告、すなわち、あなたがたが、そのサービスを利用したかどうか、法律違反を犯したのかどうか、という立証責任は原告にあるのです。裁判を起こすぞ、というのは単なる脅しであって、実際に起こす例は1%もありません。司法手続きは面倒なのです。そして裁判には時間もかかります。全くあわてる必要はありません。

起訴内容などをよく検討して、それから各所に相談するのもいいでしょう。私どももファイナンシャルプランナーの資格もございますし、紛争解決のお手伝いもある条件下では行うことができますので、そうした事業領域もございます。いきなり相手に100万円払うよりはいいでしょう。だいたい8割型負けることはありません。それでも「気持ちが悪い」という場合は、示談にする、ということを裁判所が斡旋してきます。ただ示談にしたところでそれは過去分で、ということになって、今後の未来分について支払いの義務が生じます。それはおススメできません。

そんなことをしていったら、すべての詐欺師に対してお金がいくらあっても足りないからです。そんな道理が通るなら、私どもも「8050問題解決日報」なるものをこさえて、ポストに片っ端から放り込みます。ポスティングという行為そのものも本来法律違反なのですが、迷惑防止条例とか、私有地侵入とかなんですが、そういうものだって、裁判にはならないんですよね。そして、雑誌購読料、として請求しちゃいます。そんなのお金払いますか?

だから完全無視でもいいんです。裁判所の出頭命令も無視して構いません。無視し続けていると敗訴し、罰金刑が確定するかもしれませんが、それでもお金を支払わなければいいだけです。罰金支払い延納に利子がついて雪だるまになるかもしれませんが、それでも払わないと、結局お金はとれないんです。そういうものです。裁判と言うのは相手の支払い能力がある場合に限り起こしてメリットがあるものだからです。

8050問題で困っているのに私どもに1円の寄付もできない人が詐欺師にお金をはらう必要はありません。

さて、詐欺師の見分け方です。まず恫喝です。恐喝に近い恫喝です。期限を勝手に切ってきます。ちなみにこちらの情報がありません。ですから、こちらから相手に情報を渡さないことです。詐欺師は情報を聞き出そうとします。ペラペラしゃべるとプロファイリングされて深みにはまります。昨今の詐欺の怖いのは、詐欺師をからかうと殺人にまで発展する可能性があることです。相手をしてはいけません。

詐欺師は向こうからやってくるとは限りません。インターネットの広告などでつい電話した相手が詐欺師の場合もあります。詐欺師相手にはできるだけ相手にエビデンスを要求することです。実績の証拠とか、書面を要求しましょう。電話は全部録音しましょう。録音装置のついた電話機を買うのが一つ。スマートフォンでしたら通話録音アプリがありますからそれを入れましょう。録音での恫喝は大きな証拠になります。

詐欺師は入金を急がせます。ところで、かねてから8050問題の関係者の方に申し上げたい。世の中にタダのものはない、ということです。指一本動かしてもらうのも金銭が発生すると考えることです。ですから詐欺師に何か指示された場合は、なんでそれを私がやらないといけないのか、問いただすことです。どの法律のどこにそれが書いてあるのか、それの判例はどうなっているのか、などなど。相手が言いよどんだりしたら、詐欺である確率は高くなります。

詐欺師に対抗するには、相手の質問に答えず、話し方のペースを崩し、こちらから逆質問を矢継ぎ早にすることです。これは詐欺師に限らず、アウトバウンドコールセンターといいまして、今は、保険会社でも不動産会社でも投資信託でも太陽光発電でも、独自にコールセンターを持っているところは少なくて、たいていはアウトソーシング、つまりそれ専用の下請け業者に仕事を出しています。

そのコールセンターは沖縄にある場合もありますし、海外にある場合もあります。日本でも東北とか中国地方とかいろんな場所にあります。在宅オペレーションもできるようになってはきましたが、通常は、非常にセキュリティの厳しいところに、50人100人記簿で机を並べております。電話機はありません。パソコンからマイク月ヘッドホン(ヘッドセット)が伸びており、これを頭に勤務時間中はずっと装着します。

そこの社員、といっても通常は派遣労働者ですが、彼らは、同時に5社くらいのオペレーションを行います。電話番号はコンピューターがリストを元に勝手にコールします。そのリストはクライアントから預かったものであったり、あるいは名簿業者から引っ張ったものだったりします。だいたい2秒で、いきなり電話がつながります。この時点で社員は、今どこの会社の社員か理解していません。目の前のパソコンに、社名と名前が表示されるので、それでその役になりきります。

パソコンにシナリオが表示され、イエス、ノーの分岐や質問項目が映し出されます。以前は質問の答えをオペレーターが手入力していましたが、今は自動認識で、勝手に文字になっていきます。社員の目的、通常、コンバージョンといいますが、それは、カタログを送らせていただくことであったり、無料サンプルを送らせていただくことであったり、あるいは単に情報を聞き出すことであったりします。

たいていは一瞬で切られるのですが、その場合は、気分を切り替える暇もなく瞬く間に電話がつながります。コールが何度もなることはほぼありません。電話は常にかけ続けられており、つながった時点でその時に電話が開いているオペレーターにつながるのです。本当に神経がなくなっていくような仕事です。一日多い場合は500人くらいにつながります。今は8割は1分以内に切られますから、一時間に50本電話がつながるわけです。一日電話の仕事をして、3分以上話ができなかったという日もあります。たいていの場合、「うるせえんだよ、ばかやろう」みたいに電話を切られます。心が折れる仕事です。だいたい心がよほど強くないと精神科の御厄介になります。

相手がシナリオでせめて来るのですから、こちらもシナリオで対抗しないといけません。しかし基本的には相手が詐欺だとわかった時点で電話を切ることです。知らない人の場合は、馬鹿のふりをするのも一つです。「あーあーだーれー」とだらしないしゃべり方をするのです。お金を取れる見込みがない相手はすぐに電話を向こうから切ってきます。

金銭要求の電話の場合は、誰が何を根拠にどういう理由で請求をしてきているのか、精査する必要があります。ですから、請求書と領収書は最低でも必要です。電話で片付く話ではありません。たとえ300円でも領収書が必要です。ですから、必ず文書を要求してください。文書を郵送する(メールで送るでもいいのですが)。99%送ってきません。証拠をできるだけ残したくないのです。

詐欺師は、私は詐欺師ではありません、という旨の説明にたけています。きかれもしなくても説明をはじめたりします。「お疑いですか?」とか言い出すのです。疑うにきまってるので。いろんなことをならべたてますが、これは1980年代の営業商法でマシンガントークで相手をトランス状態に追い込んでモノを売りつける場合に有効なのですね。

質問に全部回答されたりすると、とにかく、だんだんこちらが金を払わなくてはいけなくなったり親切にしたくなります。詐欺ではなく営業手法としてテクニックが古くから30ほどありまして、私はそれを使うことをしないのですが、とにかく長く喋ればしゃべるほど相手の術中にはまることになるので注意してください。さびしい一人暮らしのかたなど、話をするだけで癒される部分があり、だからこそ昔の豊田商法などもあったのですが、本当に注意してください。

相手が聞いた質問は全部こちらから逆質問し、それでいて、質問に対しては、だってあなた電話番号と名前知っているんだから、私のことは知っているんでしょ、とはぐらかし、相手がどんな情報をもとに電話をしてきているかをさぐることも重要です。相手が名簿からかけているとするとあなたは今後も狙われる可能性が高いからです。

あなたの個人的な情報はすべて高値で取引されます。たとえば「川島さん」と電話をかけてきたとします。しかし、たいていの場合、彼らは私の名前までは知りません。下の名前を知ろうとしますし、住所や金銭感覚も知ろうとします。それらはすべて金銭的価値があります。相手がタダでそれを知ろうとする場合にはこちらに金銭の請求権が発生します。堂々と請求しましょう。

もう一つ大切なポイントがあります。あなたの時間はタダではありません。電話代は払ってなくても電話番号維持にコストがかかっています。そしてあなた自身はその人の相手をしています。私どもは、一時間3500円を平均に料率を決めています。見習いカウンセラーでいいですよ、という場合は料率1500円でご紹介できる場合がありますが、ひきこもり問題については、希死念慮を見抜くスキルを必要としますので、最低3500円いただくようにしております。

3分お話したら175円ですから、請求書の宛先を聞くことですね。

以前は、名前や会社名を聞き取りにくく発音するケースが多かったのです。これは、やむを得ない場合がありまして、こちらはいいなれているので、1秒で社名を言えますが、相手方は聞いたことがない社名なので、何度も訊き返すことになるのですね。これは電話研修イロハのイです。名前をきちんと名乗らない会社は怪しいですから、直ちに電話を置いてかまいません。用事があればまたかけなおしてきますから。

先ほども書きましたように、電話を掛けたりいきなり飛び込みで集金にくるような人と言うのはその会社の人ではありません。委託業者です。委託業者が、なりすましている時点でコンプライアンス的にどうよ、ですね。ですから、きちんとした人を出してください、もそうですし、とにかく文書、そして、相手のいいなりに動いたり返事をしない。それを強く要求するように恫喝してきたら、完全に詐欺です。

私どもは恫喝のようなことは一切しません。していないですよね? このままだと大変なことになりますよ、というようなことは私どもが申し上げることではありませんから。私どもはそれぞれのご家庭の事情を最大限配慮いたします。ただ、配慮しすぎてしまうと現状維持になってしまいますので、それを変えることが使命ですから、そこのせめぎあいがあります。100の家族に1000通りの答えがあります。正解はだれにもわかりません。精神医療分野は、試してダメなら次、というのが割合と基本ですので。精神的に問題がない場合は早いのですが。問題がありすぎる場合は私どもの業務を超えてしまいますので職業モラルとしてお受けできかねてしまいますし。

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ただ、早い方がいいのは間違いがないですね。取れる選択肢が多いですから。あとやっぱり年齢に負けてしまう、というところはどうしても出てきてしまうんですねえ。お客様の状態によっては経済的に許されるのであればもう少しひきこもることをオススメする場合もあります。まあ最低でもブログは全部読みこんどくぐらい考えたほうがよろしいかとは思います。いずれにしても詐欺にはご注意くださいませ。ただなんでもかんでも詐欺にするのもそれはそれで人としてどうか、とも思います。