社会的影響力のある人が禁止薬物を使用した、ということで逮捕される事件がまた起きてしまいました。まるで事故死したかのように華麗な経歴を披露し、騒ぐだけ騒いで、すぐに歴史から削除されてしまうようすです。

国内の禁止薬物の不適切使用の逮捕者数は、摘発されている薬物の量から考えると非常に少なく見えますし、その中に著名人が混じっているのは「見せしめ」効果を疑います。

その一方で禁止薬物の名称を、本当に普通の若者が知っているだけでなく、「覚せい剤にくらべてカッコイイイメージがある」ということですので、少なくとも興味関心が高いことがわかります。

日本の社会は「正しく一人前の大人を育てる」という仕組みがどこにもありません(機能していない学校教育に押し付けている)ので、無責任な報道にはひやひやします。

なぜ禁止薬物に手を出してしまったのか、今後どうなるのか、そういう想像力が少なすぎます。自分の家族や友人、ひょっとして自分自身がそうした誘惑をどれだけ拒絶できるか、一人ひとりが自覚しないといけませんし、啓発活動が不足しています。

禁止薬物の不適切使用は「一発アウト」となりますが、強い薬効のある処方箋薬のみならず、いくらでも入手可能な市販薬や食品とくに嗜好品でも濫用により、場合により身体を大きくむしばむことになります。

有名なのはタバコと酒です。昭和の終わりごろまではテレビドラマの登場人物は男女問わず全員煙草を吸っていた時代があります。タバコは国営企業だったので、公共放送でありながら煙草の銘柄をポンポン放送していました。

タバコも酒も社会人のたしなみとして強要する時代がありました。タバコも吸えないといい営業マンになれない、とか、俺の酒が飲めねえのか! とか、拷問のような「業務より厳しい飲み会」が「黙認」ではなく「奨励」されていました。

大学の新入生歓迎コンパで、友人になったばかりの同級生が急性アルコール中毒で亡くなってしまいましたが、大学関係者はおろか誰もなんの責任も取ることはなく、未だに繰り返されています。

もともと日本人はアルコールに強い人が少ない、という問題だけはなく、嫌がることを強制しても許される、という恐ろしい文化があり、未だに消えていません。

「2時間飲み放題」という「急性アルコール中毒促進装置」のような危険な風習があるのも先進国ではあまり見ません。「飲み放題」の客引きは麻薬の売人と何が違うというのでしょう?

風邪薬や頭痛薬、特に鎮痛効果の高い市販薬でも大量摂取、長期連用によって禁止薬物同等の効果を引き起こすことは何十年も前から知られています。またアルコール等との併用によってもさまざまな問題が起きます。

カフェインの過剰摂取、チョコレートの過剰摂取などでも瞬間的な快楽を得ることができますが、それによる代償も大きいのです。さらにはギャンブル等のさまざまな依存症、「中毒患者」もまずは治療が先になります。

治療の対象は、ソシャゲを含むゲーム、テレビ、インターネットに及びます。SNSなども依存性が高く危険性は大きいのですが、プライバシー保護との兼ね合いもあり、使い方によっては治療にプラスになることも多く、業界全体としてはまだまだ課題です。

こうした薬物を含む依存症、つまり「××中毒」からの脱却と、8050問題に代表される長期引きこもりからの脱却の際に、同じ施設で同じプログラムに参加する場合もあります。

偏見の目で見られがちではありますが、人として劣っているために薬物依存になったわけでもなんでもなく、むしろストレスの強い仕事による反動により精神的に一時的にダメになった人なども多く、良いサポートを受けられる場合もあります。

薬物汚染が身近にあること、私たちはどうやったら身を守ることができるのか、ということを教えてくれるというわけではないんですね。